【タテヨコ物語】

タテにも( ↑ )、ヨコにも(→)、物語を展開するブログです!(特に映画のロケ地は出来る限り調べて書いています。)

「スポットライト 世紀のスクープ」SPOTLIGHT/アカデミー賞受賞

子供たちを救うために真実を追い詰めた新聞記者たちの正義と情熱

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ジャンル:社会派ドラマ、ヒューマンドラマ

製作国:アメリ

時間:129分

国内興行収入約4億4000万円

 

勝手に評価(10段階)

★★★★★★★★☆☆(8)

真実から目を背けない誠実さが大事なんだと思えるから観てみて!

※映画は鑑賞した皆様の評価が違うのは当然です。皆様の感性で、お楽しみください。

 

 実話に基づいて描かれ作品賞と脚本賞アカデミー賞を受賞しました。

 出演は「バットマン」のマイケル・キートン、「アベンジャーズ」のマーク・ラファロ、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」のレイチェル・マクアダムスとキャストも魅力的です。

 巨大な権力に立ち向かう勇気と熱意、そして人への優しさを感じられる映画です。

 

 

スポットライト 世紀のスクープ」の主な登場人物/キャスト

ウォルター・ロビンソン/マイケル・キートン

 

 

 ボストン・グローブ新聞社の極秘取材をするスポットライトチームのデスク。ボストン出身で部下の面倒見もよく社内での信頼も高い。自らも取材へと行く根っからの新聞記者。

マイク・レゼンデス/マーク・ラファロ

 

 

  ボストン・グローブ新聞社の記者で極秘取材をするスポットライトチームに所属。タクシー運転手から新聞記者に転職。既婚者だが仕事が忙しく妻とは別居中。被害者側のガラベディアン弁護士の取材を担当し粘り強く情報を得ていく。熱血漢で正義感が強い性格の持ち主。

サーシャ・ファイファー/レイチェル・マクアダムス

 

 

 ボストン・グローブ新聞社の記者で極秘取材をするスポットライトチームに所属。祖母と夫の3人暮らし。児童だった時に性的虐待にあった被害者たちの取材を地道に続ける。

マット・キャロル/ブライアン・ダーシー・ジェームズ

 

 

 ボストン・グローブ新聞社の記者で極秘取材をするスポットライトチームに所属。主な役割としてはデータ分析だが実際に取材に行くこともある。趣味はホラー小説を書くこと。

マーティ・バロン/リーヴ・シュレイバー

 

 

 ボストン・グローブ新聞社の新任局長。新聞報道にインターネットが食い込んできている状況で、読者にとって読みたくなるような新聞作りを目指している。物静かで穏やかな性格だが仕事は切れ者である。

ベン・ブラッドリー・ジュニア/ジョン・スラッテリー

 

 

 ボストン・グローブ新聞社の部長。当初はカトリック教会の児童への性的虐待事件を扱うことに否定的だったが加害者の数の多さを知り取材に協力的になる。

ミッチェル・ガラベディアン/スタンリー・トゥッチ

 弁護士

ジム・サリヴァン/ジェイミー・シェリダン

 教会側の弁護士

エリック・マクリーシュ/ビリー・クラダップ

 弁護士

バーナード・ロウ枢機卿/レン・キャリオー

 カトリック教会ボストン教区の責任者

 

スポットライト 世紀のスクープ」の始まり

 舞台はアメリカ・ボストン。

 1976年、ボストン警察。ゲーガン神父が恵まれない児童を虐待したとして勾留される。取材に来ているのは地元紙たった1人。そして、ゲーガン神父は逃げるように、すぐに釈放される。

 場面が替わり、2001年、ボストン・グローブ新聞社。局長だったスチュワートの退職会が行われる。そこで新聞社の長老となっている極秘取材班・スポットライトチームのデスクであるロビー(ウォルター・ロビンソン)は笑い話を交え退職を祝っていた。そして夕方、ロビーはレストランでバロン新局長と会いスポットライトの現状を伝える。バロン新局長からの答えは、もっと読みたい新聞にするように努力して欲しいとのことだった。

 そしてバロン新局長からスポットライトチームにカトリック教会の神父たちによる児童への性的虐待事件について掘り下げて取材をして欲しいと要請がされる。

 先ずは、ポーター事件とゲーガン事件、それぞれの弁護士に会いに行くことからスポットライトチームの極秘取材が始まる。

 

◆予告篇(YouTube

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※ディスクではDVDもあります。

 

スポットライト 世紀のスクープ」はドキュメンタリーを観た感覚!~ジャーナリズムへのメッセージ~

 映画の最初に“Based on Actual Events”「事実に基づく物語」と始まる。ドキュメンタリーではないかと期待させてくれます。

 最近の日本だとマスコミが批判を浴びることがある。安易な情報による報道や権力からの圧力に屈した内容が、そうさせてしまっているのかもしれない。残念なことだと思います。

 でも、ボストン・グローブ新聞社のスポットライトチームは違っていた。物語では無く実話としてキリスト教カトリック教会という巨大な権力に対しても毅然とした態度で立ち向かっていた。そして扱う事件内容は聖職者(神父)に因る児童虐待。地道な取材活動、過去の資料の洗い直し、綿密な打ち合わせ、そして何よりも新聞に事実を載せることで傷つく人々がいることも分かっていながら。

 もしかしたら、この映画を少し難しいと感じる方もいるかもしれません。

 ジャーナリズムの世界は日々刻々と変化する情勢を捉えていかなければなりません。そのリアリティーを演出するためか、この映画では台詞回しが速く、カット割りが多いようにも感じられました。そして取材テーマがキリスト教カトリック教会となると大多数の日本の皆様には馴染みがないもので、歴史の教科書に載っていたフランシスコ・ザビエルかニュースで観たローマ教皇ぐらいかもしれません。キリスト教の教派は大きく分けると3つで、ローマ・カトリック正教会プロテスタントとなり、ローマ・カトリックの聖職者は神父と呼ばれる独身男性のみという決まりがあります。そのことが児童への性的虐待に向かったのであれば、宗教が神の教えとして信者の救いにはなっていないのが真実だと思えてきます。ちなみに正教会でも同様に神父と呼ばれ結婚については役職によって異なります。プロテスタントでは牧師と呼ばれ結婚は可能です。簡単ではありますが、新聞記者の努力、宗教の背景を少しでも把握して鑑賞されるとより楽しめる映画だと思います。

 そして、事件に対して新聞記者とは本来こうあるべきだと明確なメッセージを伝えてくれているように思える映画でした。

 

スポットライト 世紀のスクープ」の補足情報

【受賞歴】~高評価の脚本~

-海外-

第88回アカデミー賞(2016年)

作品賞受賞

監督賞ノミネート:トム・マッカーシー

脚本賞受賞:トム・マッカーシージョシュ・シンガー

助演男優賞ノミネート:マーク・ラファロ

助演女優賞ノミネート:レイチェル・マクアダムス

編集賞ノミネート

 

第73回ゴールデングローブ賞(2016年)作品賞(ドラマ部門)ノミネート

監督賞ノミネート:トム・マッカーシー

脚本賞ノミネート:トム・マッカーシージョシュ・シンガー

 

第69回英国アカデミー賞(2016年)

作品賞ノミネート

オリジナル脚本賞受賞:トム・マッカーシージョシュ・シンガー

助演男優賞ノミネート:マーク・ラファロ

 

監督を務めたトム・マッカーシーベネチア国際映画祭でブライアン賞とシルバーマウス賞も受賞。

 

【撮影】~撮影監督は日本人~

 この映画の撮影監督は日本人のMASANOBU TAKAYANAGI(高柳雅暢)が担当しています。経歴は群馬県富岡市で育ち、東北大学を卒業。その後、渡米しカリフォルニア州立大学ロングビーチ校とアメリカン・フィルム・インスティチュートで学ぶ。トム・マッカーシー監督の「名探偵ティミー」でも撮影を担当しています。携わった映画としては「ファーナス/訣別の朝」、「ブラック・スキャンダル」、「荒野の誓い」などです。

 日本からアメリカへ渡り、夢を叶えた人ではないかと映画が好きな1人として憧れを抱いてしまいました。

 

 

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◆ディスクで鑑賞(Blu-ray

 

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※ディスクではDVDもあります。

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【実話の映画化】~2つの事件~

ポーター事件

 ジェイムズ・ポーター神父は約10年間で約125人の児童に性的虐待を行った。1993年に禁固18~20年の実刑になり2005年にガンで獄中死。

 

ゲーガン事件

 ジョン・ゲーガン神父は約30年間に約130人の児童に性的虐待を行った。2002年に禁錮9~10年の実刑になり2003年に他の囚人から暴行され死亡。

 

バーナード・ロウ枢機卿

 ボストン・グローブ新聞社がスクープしたのはカトリック教会ボストン教区が長期に渡り虐待の事実を黙殺していたこと。それを切っ掛けに世界中のカトリック教会に疑惑が拡がることとなる。

 しかし、責任者のバーナード・フランシス・ロウ枢機卿は一旦ボストン教区では辞任したが、後にローマのカトリック教会に転属した。

 

【新聞社】~ピューリッツァー賞

 何とも後味の悪い事件だったと思います。宗教が信者や子供たちにとって救いになることを願うばかりです。

 事実は小説より奇なりとは、こういうことなのでしょうか。

 カトリック教会の神父たちによる児童への性的虐待事件は、世紀のスクープとしてボストン・グローブ新聞社に、2003年にピーリッツァー賞・公益賞が贈られました。アメリカでの報道に関する最高峰とされる賞です。新聞記者たちが正確に真実を伝え、それを切っ掛けに社会が良い方向へと進んでいく、とても意義がある受賞だと思います。そして世界中の注目を集める事件報道の端緒を開いてくれたことに敬意を表します。

 

スポットライト 世紀のスクープ」のネタバレ

ネタバレを含みますのでご注意ください。

 原題の“SPOTLIGHT”だけでは何の映画なのか伝わりづらいので、邦題として「世紀のスクープ」と付け加えてくれたのは良かったと思います。“SPOTLIGHT”だけだと舞台照明のことなのかと勘違いしてしまいます。

 隠蔽された真実を1つひとつ丁寧に解明していく調査報道にスクープの意義があり、実話を題材にしているので謎解きの様な面白みはありません。しかし公の機関が発表した内容だけを取り上げた批評ジャーナリズムとの違いを感じ取る、真実を伝えることが正義だと思える面白みがありました。

 ボストン・グローブ新聞社のスポットライトチームが神父たちの児童虐待について取材を進める中、2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件が起きてしまう。事件の惨状に悲しむ人々は教会に救いを求める風潮が強まります。それでも地道に調査を続けるスポットライトはカトリック教会のロウ枢機卿児童虐待を隠蔽していた証拠を入手する。マイクは入手した証拠で記事にする様に主張するがデスクのロビーはマイクの主張を却下する。ロビーも自ら神父たちの児童虐待の事実を突き止めるために動き裏を取った。

 そしてカトリック教会が神父たちの児童虐待を隠蔽してきた記事が載った新聞が発行される。

 真実に傷付くのは何も被害者たちだけではなかった。サーシャの祖母も敬虔なカトリック教徒だったのだ。長い間、何も疑わずに信仰してきたカトリック教会の真実を知らされたときのショックは余りにも大きすぎた。

 記事を読んだ被害者たちからボストン・グローブ新聞社に電話が殺到する。遅れてオフィスに着いたロビーとマイクも電話を受ける。

 映画のエンディングでは、この事件の大きさを示すテロップが使われ真実が報告されます。

 社会正義とは何か、本当に救わなければならない人々は誰なのか、本来の意味でのジャーナリズムが果たす役割を実話に基づく物語として伝えてくれました。

 そんな感想を言える物語でした。

 

◆関連書籍を購読

 

 

脚本:トム・マッカーシージョシュ・シンガー

監督:トム・マッカーシー

 

©2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

※全ての画像は上記企業および引用元に帰属しています。

 

 ここまで読んで頂き有難う御座いました。

 素敵な映画時間を、お過ごし下さい。