「人魚の眠る家」/東野圭吾の作家デビュー30周年記念作の映画化
日本中のお母さんに観て欲しい子供の尊厳死と母親の愛情
ジャンル:ミステリー、人間ドラマ
製作国:日本
時間:120分
国内興行収入:約10億円
勝手に評価(10段階)
★★★★★★★☆☆☆(7)
➡登場人物たちの気持ちが痛いほど分かるから観てみて!
※映画は鑑賞した皆様の評価が違うのは当然です。皆様の感性で、お楽しみください。
数ある東野圭吾原作の映画の中でも人の死や家族の関係について考えさせてくれる。何をもって人の死とするのか、この映画を観た皆様でも意見が分かれるところかも知れません。
子供の死に対して母親として、どの様に向き合うべきか考えるよいきっかけになる映画です。
- 「人魚の眠る家」の主な登場人物/キャスト
- 「人魚の眠る家」の始まり
- 「人魚の眠る家」は東野圭吾が生み出す愛の物語!~脳死と心臓死~
- 「人魚の眠る家」の一言台詞
- 「人魚の眠る家」の補足情報
- 「人魚の眠る家」のネタバレ
「人魚の眠る家」の主な登場人物/キャスト
播磨薫子/篠原涼子
瑞穂と生人の母。夫の和昌とは離婚を前提に別居中。子供2人と暮らす。子供たちに対しては、とても教育熱心な面がある。
播磨和昌/西島秀俊
薫子の夫であり瑞穂と生人の父。創業者で父親の多津朗からハリマテクスを引継ぎ二代目社長として敏腕を振るう仕事人間。
播磨瑞穂/稲垣来泉(いながきくるみ)
和昌と薫子の長女。プールで事故に遭い脳死状態となる。
播磨生人/斎藤汰鷹(さいとうたいよう)
和昌と薫子の長男で瑞穂の弟。姉である瑞穂の状態を受け入れられずにいる。
星野祐也/坂口健太郎
ハリマテクスで障害者をサポートする最先端技術を開発している研究職社員。自分の技術を信じて仕事に打ち込んでいる。
川嶋真緒/川栄李奈
星野の婚約者。結婚を前にして星野の気持ちが徐々に自分から離れているように感じている。
山口紗弥加、田中哲司、大倉孝二、駿河太郎、利重剛、荒川梨杏、田中泯、松坂慶子、他
「人魚の眠る家」の始まり
舞台は東京。小学生の少年たちが学校帰りの通学路でボール遊びをしている。そのボールが大きな邸宅の庭へと入ってしまう。1人の少年がボールを取りに邸宅に入る。そこで出会ったのは庭のテラスで車イスに座って寝ている少女だった。少年と少女は、なぜ出会う運命だったのか。
夏になり祖母の千鶴子(松坂慶子)の付き添いで瑞穂と生人、それに従姉妹の若葉(荒川梨杏)はプールに行くことになる。楽しく遊んでいた筈の3人だったが、そのプールで瑞穂が溺れた。
家族に突き付けられる現実は…。
◆予告編(YouTube)
◆インターネットで鑑賞(amazon prime video)
◆ディスクで鑑賞(Blu-ray)
※ディスクでは豪華版Blu-rayと通常盤DVDもあります。
「人魚の眠る家」は東野圭吾が生み出す愛の物語!~脳死と心臓死~
「人魚が眠る家」を物語のジャンル分けするとミステリーに入れて良いのか非常に迷います。ミステリーとは推理小説であるとの固定観念が染みついてしまっている。でも英語のmysteryには神秘という意味もあります。人間の死に対して科学の力を加えることも神秘的なんだと考えれば、ミステリーとヒューマンドラマの二つの要素を掛け合わせている物語だと言うことが出来ます。
物語のテーマとして脳死と心臓死のどちらを人の死として家族は受け止めなければならないのか。そして、その立場に立たされたときに家族の絆は守れるのか。考えても簡単には答えが出せない部分に共感を覚えます。
母親役として主演を務めた篠原涼子の狂気にも近い娘に対する愛情の演技は日本アカデミー賞・主演女優賞にもノミネートされました。脳死を人の死とするならば、安易には受け入れられない状況、まだ生きていると周りに理解して欲しい気持ち、回復の奇跡を信じている精神力を迫真の演技力で好演しています。
母親だけではなく父親役の西島秀俊の葛藤に対する演技も星野役の坂口健太郎の研究職としての演技も立場が違えど理解してあげたくなる役柄でした。
そして東野圭吾の作品らしく物語の中に理系的な知識も盛り込まれているところが飽きさせない要素にもなっていました。
物語としては何よりも全ての役柄に優しさと希望が伴っているところも心を打ちます。出演者の演技とは別に光の演出も印象的でした。優しさとは、その人の状況を受け入れてあげる気持ちだと信じ続けられる映画でした。
「人魚の眠る家」の一言台詞
「あの日、プールに行く前、「凄く綺麗だから連れてってあげる」って、でも私、ちゃんと聞いてあげなくて、ずっと後悔してた」
「人魚の眠る家」の補足情報
【ロケ地】~ふたりのデートと家族愛~
星野と真緒が「もんじゃ焼き」を食べていたシーンの飲食店。昭和時代の古き良き雰囲気が漂う店内。テレビドラマ「初森ベマーズ」や他のテレビ番組でもロケ地として使われています。
※上記レストランのメニュープランなど詳細は【Retty】で御確認ください。
◆ディスクで鑑賞(Blu-ray)
※DVDもあります。
GARB pintino (ガーブピンティーノ):東京都千代田区・神保町駅
星野と真緒が合コンで出会ったシーンで撮影されたテラススクエア内のレストラン。フレンチ、イタリアンのお洒落な店内。映画と同じように合コンで予約してみても良いかもしれません。
※上記レストランのメニュープランなど詳細は【一休.com】で御確認ください。
都市センターホテル・ラウンジ:東京都千代田区・永田町
和昌と真緒が話し合いをしたシーンのホテルのラウンジ。リーガロイヤルホテルグループの一つ。都会の高級ホテルのラウンジで、ゆっくりとコーヒーや紅茶を飲むのもリラックスができます。
※上記ホテルの宿泊プランなど詳細は【一休.com】で御確認ください。
林試の森公園:東京都目黒区下目黒五丁目、東京都品川区小山台二丁目
映画では薫子が瑞穂を連れて散歩をしたり、家族4人で瑞穂が気に入っていた場所を訪れたシーンの撮影で使われています。
現在の公園としては、明治時代に林業に関する国の試験場だったところを、昭和時代に東京都に払い下げられ、平成元年に都立林試の森公園として開園した。
URL:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index003.html
【音楽】~歌詞が母親の気持ち~
主題歌は絢香によって映画のために書き下ろされた「あいことば」です。歌詞が映画での母親の気持ちを表現しています。
「希望を、未来を、明日を、透明な愛言葉」
絢香のアルバム「30y/o」に収録されています。
映画のサウンドトラックはイギリスの天才ピアニスト&作曲家のAlexis Ffrench(アレクシス・フレンチ)です。癒やしのBGMとして最適です。挿入曲の“Bluebird/ブルーバード~愛のテーマ”と副題が付けられ愛情深いイメージを感じられます。
※絢香の「あいことば」は収録されていません。
【受賞歴】~篠原涼子がWノミネート~
-国内-
第42回日本アカデミー賞(2019年)
主演女優賞ノミネート:篠原涼子
第42回日本アカデミー賞で篠原涼子は「人魚の眠る家」で主演女優賞ノミネート、「北の桜守」で助演女優賞ノミネートと演技力が評価された結果となった。「万引き家族」と同年となり両賞は安藤サクラと樹木希林が受賞した。
【ファッション】~社長は一流ブランド~
この映画では西島秀俊の衣装をジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)が全面協力している。社長役には高級スーツが似合う。
ジョルジオ・アルマーニのオーダー・メード・ラインであるメイド・トゥ・メジャー(MADE TO MEASURE)は、2018年の広告モデルに西島秀俊を起用しています。
イタリアの高級ブランド。
URL:https://www.armani.com/jp/
自然で美しいリアルクローズ(現実性のある服)を提案している日本のウィメンズファッションブランド。
イギリスの高級ブランド。
URL:https://www.paulsmith.co.jp/shop
【東野圭吾より】~映画に向けてのメッセージ~
原作者が泣いたら かっこ悪いという思いから
懸命に涙は堪えましたが、
皆さんは遠慮なく泣いてくださって結構です。
「人魚の眠る家」のネタバレ
ネタバレを含みますのでご注意ください。
愛する我が子が事故に遭い脳死になったら、とてもじゃないが受け止めることなんて出来る筈がない。しかし母親として我が子を守り抜く精神力、そして我が子の気持ちを推し量る洞察力、周りに理解されなくても愛する我が子と共に歩む行動力など、とてもリアルに描かれている映画でした。
公益社団法人・日本臓器移植ネットワークによれば「脳死とは、脳の全ての働きがなくなった状態です。どんな治療をしても回復することはなく、人工呼吸器などの助けがなければ心臓は停止します。回復する可能性がある植物状態とは全く別の状態です。」と説明されています。
科学や医療の進歩によって生命の維持をしたとしても、いずれ瑞穂に死は訪れます。瑞穂は子供らしい綺麗な想い出と母への沢山の感謝の言葉を伝え旅立ちます。それは誰かの体の中で生き続けることでもあります。両親は医師に娘の想いと旅立ちを受け入れることを伝えます。そしてボール遊びをしていた少年と庭のテラスで車イスに座って寝ていた少女が繋がっていきます。
脳死だけの問題ではなく日本人の倫理観も考えさせてくれます。自分の家族だけの問題ではなく誰か辛い立場にある人の状況でさえ受け止めることから逃げていないだろうか。見て見ぬ振りをしていないだろうか。この映画には、そんな一般的な人々の考え方もシーンとなっていました。
全ての人間に関心を払えるなんて出来る筈はない。でも優しさくらいは持ち合わせていたい、持ち合わせていて欲しいと思えてくる。
そんな感想を言える物語でした。
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原作:東野圭吾
脚本:篠崎絵里子
監督:堤幸彦
©2018 「人魚の眠る家」製作委員会
※全ての画像は上記企業および引用元に帰属しています。
ここまで読んで頂き有難う御座いました。
素敵な映画時間を、お過ごし下さい。